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2024年 九州ロングNAVトレーニング 後半レポート(8月13日から16日) 庄内

8/13(火) 4日目

〇ルート 熊本空港(15:00)→雲仙岳→諫早湾→長崎空港(15:43) 飛行高度2000ft 距離47NM
 体調は良好。約1ヶ月半の準備期間を経ていよいよ初のロングNAV開始。このスタートラインに立つまでに、空港事務所へスポット予約、G109の性能を考慮しての給油地選定と予約、航空図とフライトコンピュータ、プロッターを用いた航法計画書の作成、AIP・NOTAM確認、関連法規の復習、8月8日に発生した日向灘地震や北上する台風7号の情報入手、宿泊、レンタカー手配、荷物の最小化などをして実践となりました。
 熊本は快晴、ところが菊陽町からほぼ真西に進路を取り洋上へ出ると夏特有の霞がかった乳白色の空で太陽が正面近くにあり地平線がわかりづらく方位、高度とも安定せずグラグラの蛇行を繰り返してしまいました。目が慣れてくると、雲仙岳が目標となり落ち着きを取り戻しました。また、当然ですが目標物がはっきり見えなくても方位、速度、高度を計画通りに維持すれば、予定した時刻にピタリと目的地に到着することを体感し、改めて事前のNAV計画作成の重要性を学びました。
 長崎空港の土産物店はカステラずくめで、黄色と茶色のカステラカラーで埋め尽くされていました。感動もつかの間、始発の新幹線で移動したことや不慣れなフライトの緊張から結構疲労し初日は夕食後パタリと寝てしましいました。



8/14(水) 5日目

〇ルート 長崎空港(08:39)→軍艦島→天草→獅子島→出水→鹿児島空港(10:10) 飛行高度2500ft 距離85NM
     鹿児島空港(10:53)→鹿児島市街→池田湖→佐多岬→馬毛島→種子島空港(12:50) 飛行高度2500ft 距離81NM
 2日目は種子島観光をするために宿を早く出発。宿泊地の大村は長崎空港の目前ということもあり出発までスムーズでした。離陸後は約10分南西へ飛び、軍艦島を見学。炭鉱島に住宅などが密集する異様な姿を初めて見て感動するとともに飛行機って便利だなと思いました。次に針路を南東に向け天草まで約30kmの洋上飛行。水平線の向こうにうっすらと目標が見えるのですが、慣れない海と空の青だけの景色に翻弄され昨日同様に方位で10度、高度は200ftくらいの幅でブレてしまいました。後にGPSの航跡を見ると、洋上での蛇行がよく分かりました。また、遠くに目標物を視認すると次第に安定してくることもわかりました。天草を過ぎて獅子島から水俣市に差し掛かる頃には落ち着いて飛べました。
 次の関門は混雑空港のATC。鹿児島の管制圏に入ると航空大学校の訓練機やエアラインの無線がひっきりなしで住吉池のあたりで待機の指示、ここから着陸まではAIPに書かれているポイントを通るよう無線があり、“お作法“の予習不足が浮き彫りとなりました。改めて迫田教官が行ってくださった事前講習の重要性をかみしめました。



   鹿児島空港では給油のみ、空港事務所にフライトプランを提出してすぐに出発しました。AVGASは1リットル350円強、他空港よりは少し安かったようですが、それでもハイオクのほぼ2倍でした。
   3レグ目は今回の遠征の目的地である種子島へのフライト。鹿児島空港を離陸後、桜島を西に避けるようにして鹿児島中央から知覧、池田湖を経て開聞岳を右に見ながら佐多岬へと南進しました。そして西之表まで約50kmの洋上直線飛行。天候は快晴で視程も良好ながら佐多岬からは30km先の馬毛島は視認できず計器を頼りに飛行。遠くに浮かぶ雲を補助目標にして針路140度、高度2500ftをキープ。針路、方位、高度、地平線、目標物・・・、クロスチェックを10分も繰り返すと青い空と海に吸い込まれるように目標が曖昧となり、いつのまにか高度が300ft近く下がっていることに気づきハッとしました。私の場合、目標物を探す際に下方を見る傾向があり、これにつられて高度を下げていたようです。また針路が5度くらい南(右)へずれていました。洋上での5度のズレは、気づくのが遅れればロストポジションにもつながりかねない大きなミスであると痛感しました。隣の迫田教官はすべてお見通しで、後に丁寧にレクチャーいただきました。やがて眼下に工事中の馬毛島をはっきりと視認すると前方に西之表港。洋上を直進する旅客船の航跡もまっすぐに西之表に向かっており、針路に間違いがなかったことを実感しました。西之表からは、鹿児島でミスしたAIPに記載のポイントを飛び種子島空港のR/W13に着陸。種子島空港は島の中央部の山を切り開いた空港でELEV.758ft、東に向かって上り傾斜、さらにランウェーエンドには誘導路もターニングパッドもなく、着陸時にエプロン前で止まれない場合は滑走路上でUターンが必要です。G109は余裕をもって減速でき、そのままエプロンに入ることができました。
   旅に失敗はつきものですが、予約した時刻より1時間早く種子島に到着することを事前にレンタカー会社へ伝えておらず、手続きを含めて約15分をロス。ワゴンRを借りると、すぐにJAXA種子島宇宙センターの見学に行きました。展望台(ロケットの丘)、発射場、宇宙科学技術館、ショップを堪能しました。さらに、広田遺跡では語り部のガイド付きで、種子島には縄文後期に稲作が伝わったこと、時代ごとの埋葬方法、16世紀の鉄砲伝来等を学び、千座の岩屋では美しい洞窟に心を洗われました。宿泊した“種子島サーフステイ恵美之湯“は部屋の目前にロケットの発射台が見える立地で絶景でした。


8/15(木) 6日目

〇ルート 種子島空港(09:06)→西之表市→火崎→日南海岸→鬼の洗濯板→宮崎空港(10:26) 飛行高度2500ft 距離85NM
     宮崎空港(11:17)→延岡→佐賀関→佐田岬→松山空港(13:18) 飛行高度2500ft 距離145NM
 種子島は朝9時半には雨が降るとの予報、出発準備を急ぎ何とか降雨の前に離陸。ところが雲が多く北へ直進するとVMCが維持できない状況。この状況ではクライムピッチに切り替え、上昇旋回を繰り返し雲とのクリアランスを確保すると教わる。雲を抜けると洋上は快晴、北に進路を取り火崎の東大ロケット発射場、志布志湾、日南海岸、鬼の洗濯岩で知られる青島神社を経て宮崎空港に着陸。感覚的にも慣れてきて、操縦自体は余裕が出てきたように感じました。しかし、地上タキシングはボロボロ。コンクリート舗装の誘導路では尾輪が右へ左へと大きく蛇行。特に横風時はブレーキも併用が必要で技量不足を痛感しました。



 宮崎空港では給油のみですぐに出発。新田原の管制圏はお盆で戦闘機の訓練がないためかクロスコントロールゾーンの許可がおり海岸線を北へ直進。シーガイア、日向、延岡の海岸線を飛び佐賀関へ。ここで、延岡から臼杵間の低い山地を2500ftで超えられるか不安に。計画では経路上の山地の標高は最大2350ft。谷を飛行するので余裕を持って通過できると考えましたが、初めて飛ぶ場所で目前に山々が立ち並ぶと遠くほど高く見えます。このようなときは近くの山と遠くの山で、雲と山頂の間隔を目測で測り比較するとよいと教わりました。確かに、同じような地形の連続では雲底高度に大きな差がないことを考えれば理にかないます。このような判断の一つひとつに、パイロットとしての安全に対する日々の積み重ねがあるのだと感じました。
 無事に山を越え、佐賀関で針路を022度に変針すると視程もよく目前に佐田岬と伊方原発付近に並ぶ無数の風車が見えました。原発北側にあるKS空域も通過許可がおり、松山まで最短距離で飛行できました。GPSの航跡画像を添付します(丸数字は100kmごとのマーク)。



8/16(金) 7日目

〇ルート 松山空港(11:14)→四国中央→高松→淡路島→垂水IC→神戸空港(13:21) 飛行高度3500ft 距離140NM
     神戸空港(15:10)→USJ→八尾空港南→名張→松阪→伊勢→伊良湖岬→浜北GP(17:03) 飛行高度3500ft 距離144NM
 台風7号が房総半島の南に接近しており、前日の降機時に松山空港気象台で詳細な情報を入手。これによると午後の遅い時間ほど浜松の天候は回復し、風も弱まる予報。当日朝の気象情報も同様。浜北に16時以降に到着するように計画を作成。松山を11時過ぎに離陸。四国中央から先は雲が多く航法の目印としていた高速道路上から北の海岸線沿いにルートを変更。左に瀬戸大橋を見ながら、高松と神戸のVOR/DMEの電波を次々拾って淡路島まで直進しました。機内で航空図を確認してルート変更の判断をすることはよくあると聞いていましたが、実践の場ではじめて体験しました。この区間は台風西側を飛ぶため南西風が上空では20~30ktもあり、淡路島~神戸では追い風に乗ってGSが100ktを超えました。神戸空港は混雑しており垂水からポートアイランドの空域で着陸待ちの旋回を2旋転し無事着陸。



 神戸では、ヒラタ学園エプロンで給油をさせていただき、いよいよ最終レグの浜北帰投フライトへ。管制圏が入り組む大阪湾周辺はATCが難しく、聞き取れない、話せないで頭は大混乱。勉強不足を痛感しました。無線はほぼすべて迫田教官にお願いし、USJ→万博会場→八尾へ進んだところでIFR機が八尾進入中のこととで、管制の指示に従い三角形のパターンを描いて10分以上待機、八尾空港南側の三日月形のコントロールゾーンを抜けると名張から松阪へ向けて紀伊半島超えのルートを飛行。ここも山と雲が近く、事前のNAV計画作成と昨日体験した雲と山頂の間隔の読み取りが役立ちました。山を越えた直後は風下側の沈下が大きく高度維持とともに素早く離れる必要がありました。3kmも離れると沈下はなくなり気流が安定、目前の松阪から伊勢、伊勢湾を越えて伊良湖まで難なく飛ぶことができ浜名湖へ。ここからは見慣れた景色を進んで無事に浜北滑空場に着陸しました。出迎えてくださった皆様の表情を見て安堵し忘れそうになるも、フライトプランをクローズして無事に遠征を終えることができました。



   野外飛行回数・時間・距離:7回、11+32、727NM(約1300km)

総括

4日間で西日本を半周する大フライトは感動の連続で人生観を変えるほどの体験となりました。そして、飛行機操縦の楽しさを存分に堪能し、もっと出来ることを増やしてやがては機長として飛べるようになりたいという新たな意欲が沸きました。用意したドライブレコーダーやGPS記録は後の振り返りに役立ちました。課題は、①航法とATC、②タキシング、③機体の取扱と地上ハンドリング、④AIP読み取り、航空気象、飛ぶための法的根拠の整理など多岐に及びました。こうした課題に気付いたことも成果だと思います。今回のフライトのために、事前座学から丁寧に指導いただいた迫田教官、日々の訓練を共にしてきたクラブ員の皆様に感謝申し上げます。

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